「最もエキサイティングな600cc」
ヤマハのミドルスーパースポーツYZF-R6は1999年に発売されました。
今回は過去23年間に開催されたスーパースポーツ世界選手権で、11回もメーカータイトルを獲得したYZF-R6の魅力を解説していきます。
この記事を読み終わったころにはYZF-R6が気になって早くバイクショップに見に行きたくなっているはずですよ。
中古相場と歴史や評判なども紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
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YZF-R6とは?
YZF-R6は1999年からヤマハが販売しているミドルスーパースポーツです。
初代モデルからスーパースポーツ世界選手権でメーカータイトルを獲得した上に、更に3連覇を成し遂げたマシンとして一気に知名度を上げました。 ※スーパースポーツ世界選手権(World Supersport Championship 略称:WSS)とは、600ccの市販車をベースにした車両で競われるレースカテゴリー。1999年から世界選手権に昇格
2000年前後から600ccレース人気が高まり多くのミドルスーパースポーツが発売されましたが、YZF-R6はその中で「最もサーキット性能に特化したマシン」だといえます。
ほかのミドルスーパースポーツにも興味がある人は別記事で詳しく解説しています。
スーパースポーツ世界選手権のために誕生
YZF-R6はスーパースポーツ世界選手権(WSS)で勝つために生まれたマシンです。
WSSが初開催された1999年より以前は、オールラウンドなYZF600Rがヤマハのミドルスポーツを担っていました。
2000年前後から世界中で600ccレースの人気が高まったため、ヤマハが用意したのがYZF-R6。
R6はデビュー初年度からWSSのメーカータイトルを獲得した上に3連覇、センセーショナルなデビューを飾りました。
2022年10月現在までに過去23回開催されたスーパースポーツ世界選手権での成績は「メーカータイトル11回、チャンピオンマシン9回」と長年にわたって華々しい成績を残し続けています。
進化の理由はいつもレースで勝つため
バイクのモデルチェンジは流行りを反映させるのが普通ですが、流行りに合わせてばかりではコンセプトに一貫性がなくなります。
モデルチェンジのたびにコンセプトを変える車両もありますがR6は別。
初代から最終型までモデルチェンジの目的はいつも「サーキットでの戦闘力アップのため」で一貫しています。
公道では見かけなくてもサーキットに行けば多くのR6が集まっているのが、レース好きのライダーに支持されている証ですね。
ライバルは600ccではなくYZF-R1
YZF-R6はWSSで勝利するために生まれたので直接のライバルは他社製600ccマシンです。しかし製作チームは「YZF-R1に勝つ」という裏の目標を立ててR6を設計しました。
「本当にR1に勝つためにR6を作ったんですか?」という記者の質問には、「もちろん本当だ」「R6はサーキットのコーナーでR1のインを刺せるように作ってある」と制作チームは答えたそうです。
打倒R1の思想は2017年にYZF-Rシリーズのデザインが統一されるまで、歴代R6に受け継がれます。
YZF-R6の新車価格とスペック
(スペックは2017年式で価格はプレストのもの)
メーカー希望小売価格 | 1,450,000円 |
---|---|
カラー | レースブルー |
全長(mm) | 2040 |
全幅(mm) | 695 |
全高(mm) | 1150 |
シート高(mm) | 850 |
車両重量(kg) | 190 |
総排気量(cc) | 599 |
最高出力 | 118.4PS/14,500rpm |
最大トルク | 6.3kgf・m/10,500rpm |
エンジン形式 | 水冷・4ストローク・並列4気筒・DOHC |
燃料供給方式 | フューエルインジェクション |
燃料タンク容量(L) | 17 |
YZF-R6の中古相場
ここからはYZF-R6の中古相場についてお話していきます。
モデルケース | 中古価格 |
---|---|
① 21799km 1999年式 | 425,000円 |
② 19600km 2003年式 | 499,000円 |
③ 20770km 2006年式 | 899,000円 |
④ 20676km 2017年式 | 1,210,000円 |
初期と2代目のモデルに関しては良個体が少ないこともありますが、50万円を下回るものが多いですね。
ただ、2006年式以降からは100万円に近くなっているので、現在所有してる人は予想より高値で売れる可能性がありそうです。YZF-R6全体の平均相場は2023年6月時点で132万円となっています。
YZF-R6の評判・口コミ
ここからはYZF-R6に実際に乗っているライダーの口コミや評判をご紹介していきます。
用途としては、
- ツーリング:64.3%
- 街乗り:14.3%
- 通勤・通学:14.3%
- 峠:7.1%
という結果でした。
やはり走りの良さを生かしてツーリングで楽しむ方が多いようですね。
評価としても走行性能が4.3点と最も高い結果となりました。足つきは170m以上なら良好のようです。
良い評判・口コミ
コーナリング性能が抜群で特に峠を走るには非常に向いていましたし、加速性能も高く乗っていて大変気持ち良かったです。(男性、40代、173cm)
ヤマハ独特の排気音が心地よく、街乗り・ツーリング、山道などシチュエーションごとに乗る楽しさを感じさせてくれるのが良い点です。(男性、30代、180cm)
軽く、良く回るエンジン。リッター車にはない車体の軽快さ。他メーカーの600ccクラスには無い狂暴な所が大好きです。(男性、40代、172cm)
走行性能が高くコーナリングで力を発揮するので、ツーリングだけでなく峠を攻めたい人にも向いてそうですね。
他の600ccクラスにはない走りを体感したい方にはおすすめでしょう。
悪い評判・口コミ
街で使うにはちょっと乗りにくい。パワーありすぎるので注意。積載は無理です。(女性、40代、162cm)
悪いところは、ハンドルの取り回しがあまりよかなく乗りにくく感じました。(男性、30代、168cm)
同クラスの他のモデルと比較して価格帯がやや高めに設定されているほか、燃費もそれほど良くない、また初心者にはやや扱いづらいところがデメリットだと感じます。(男性、30代、169cm)
加速が良く走行性能が高すぎることが、街乗りでは逆にオーバースペックになることもありそうですね。
また、燃費がリッター約15kmで決して良くはなく、取り回しも軽くはないと感じている人も結構いました。
YZF-R6は初心者が乗るには難易度が少し高いバイクですね。
おすすめな人
運転に自信がある人でコーナーリングなどを気持ちよくしたい人
見た目がとにかく格好良く、映画スターでも乗っていそうな華やかさがあります。見た目の美的センスにこだわるならこれが良いといえます。見た目がゴツイ割に静音設計なので、騒音などにうるさい人が集まる団地を走ることが多い人などにも向きます。
ガッツリ走りたい人におすすめ。スポーティ、飛ばして走りを楽しみたい方に。
ある程度バイクの運転に慣れている人で、デザイン性や高い走行性能を求める人向きです。
街乗りで使うにはあまり適さないので、サーキットなどでレースを楽しみたい人などが最も価値を感じられそうですね。
YZF-R6のカスタム
ここからはYZF-R6のオススメなカスタマイズを紹介していきます。
YZF-R6のようなスーパースポーツの場合、ポジションに不満が出るまでハンドルやステップをいじらない方が無難です。
理由はスポーツバイクほど荷重位置が重要で、下手に変更するとかえって乗りにくくなる場合があるから。
YZF-R6はレースに特化したマシンなので、オーナーの技量に合わせてスポーツ性能を上げるカスタムが主流ですね。
YZF-R6の代表的なカスタム事例
2013年式YZF-R6をベースにしたドッグファイトレーシングのコンプリートマシンです。
2012年に全日本選手権やアジア選手権で表彰台に上った伊藤勇樹選手のマシンと同スペックで、当時の価格は1,880,000円。
ドッグファイトレーシングとは、千葉県松戸市にあるレースに強い有名なバイクショップです。
ドッグファイトレーシングのほかにも全国のバイクカスタムショップから、R6のコンプリートマシンが数多く発売されていますよ。
YZF-R6の代表的なカスタムパーツ
ここからはパーツごとにおすすめのカスタムパーツを紹介していきます。
ドッグファイトレーシング製 チタンフルエキゾーストマフラー
- 販売価格:217,800円(税込)
- 適合年式:2006年~2014年
- 素材:チタン
- サイレンサー:アルミ
ドックファイトレーシング製チタンフルエキゾーストマフラーは、ベンチテストだけでなく全日本など実走行テストでの改良を繰り返して開発しています。
上記のフルエキゾーストマフラーは、全日本に参戦しているドッグファイトレーシングチームで使用しているものと同仕様。
装着にあたりカウルのカットやステップの変更などは不要で、ノーマルマフラーからボルトオンで交換可能です。
オーヴァーレーシング製 レーシングスライダー
- 販売価格:23,100円(税込)
- 適合年式:2017年~
- ブラックアルマイト仕上げ
- アルミ削り出し取り付けベースブラケット付き
- 取り付けボルト&カラー類付属
オーヴァーレーシング製レーシングスライダーの左右セットで、カウルへの加工なしで取り付けられます。
高価なカウルのガードに役立つので安心感が増しますよ。
オーヴァーレーシング製 フロントアクスルスライダー
- 販売価格:11,000円(税込)
- 適合年式:2017年~
- アルミ削り出し取り付けベースブラケット(アルマイト仕上げ)
- ジュラコンサイズ:φ32-40x28mm
- 設定カラー:ブラック・シルバー
オーヴァーレーシング製フロントアクスルスライダーの左右セットで、転倒時のブレーキキャリパーへのダメージ軽減やアクスルボルトの保護に役立ちます。
アクスルボルトが削れるとフロントタイヤが外せなくなるので、上記で紹介しているレーシングスライダーとセットで装備すると安心感が大幅にアップしますよ。
YZF-R6の歴史
ここからはYZF-R6の進化の歴史を解説していきます。
1996年 YZF600R(4WE):ヤマハ流オールラウンドミドルスポーツ
「YZF」というヤマハのスーパースポーツの記号がつけられたYZF600R ThunderCat(サンダーキャット)は1996年に発売されました。
少し古臭く感じる「ThunderCat」というペットネームは、1992年に発売されたCBR900RR FireBladeの「ファイヤーブレード」への対抗心からでしょう。
ちなみにYZF1000RにはThunder Ace(サンダーエース)というペットネームがついています▼
YZF600Rはツアラー向きなオールマイティースポーツで、YZF-R6のようなカリカリなレーサーバイクではありません。
オールラウンダーのバイクは排気量が大きい方が人気が出るので、日本国内では知名度が低いマシンです。
発売された1996年は「大型バイクはゆとりを楽しむバイク」とヤマハは考えていたようですが、2000年ごろになると600ccレースの人気が高まるのでレーシーなYZF-R6が登場することになります。
600ccで100馬力を発生させるエンジンは適度にスポーティーなので、YZF600Rが現在発売されたらオールマイティなミドルスポーツとして人気が出るかもしれませんね。
1999年 YZF-R6(5EB):最も獰猛なミドルSS
カリカリなレース向きミドルスーパースポーツとして登場した初代YZF-R6は1999年に発売されました。
デビュー時点ですでにフルスペック状態で「レースのヤマハ」に恥じない内容です。
- 120馬力
- アルミツインチューブフレーム
- 乾燥重量169kg
- ラムエアシステム採用
リッターあたり200馬力という超高出力エンジンを搭載したのは、ヨーロッパで人気が高まっていた600ccレースが1999年から世界選手権に昇格したことが理由。
YZF600Rのツアラー要素は捨て去ってストイックなレーシングスポーツに進化、車種名もYZF-R6に変えて新しいバイクになりました。
キャラクターとコンセプトがレーシーになったのはレースで勝つためだけではありません。
先に発売されていたYZF-R1はR6とは別チームが開発していて「身内だからこそR1にだけは負けられない」という事情もレーシーになった理由の1つ。
先にラムエアシステムを導入しているところが「R1にだけは負けない」というプライドを感じられますね。
デビューからスーパースポーツ世界選手権タイトル3連覇
初代YZF-R6は1999年にスーパースポーツ世界選手権(WSS)の初代メーカータイトルを獲得し、更に3連覇を成し遂げます。
1999年からのWSSチャンピオンは下記の通り。
- 1999年 スズキ・GSX-R600・ステファン・シャンボン選手
- 2000年 ヤマハ・YZF-R6・イェルグ・トイヒャート選手
- 2001年 カワサキ・ZX-6R・アンドリュー・ピット選手
1999年と2001年はチャンピオンマシンにはなっていませんが、3年間を通してメーカータイトルはヤマハが獲得しています。
特別優れたエースライダーだけがヤマハ以外のマシンでチャンピオンになれたとしても、多くのライダーが安定して成績を出し続けた理由はYZF-R6だったという証ですね。
2001年 YZF-R6(5MT):インフォメーション豊富なリアサス設定
2001年にYZF-R6は2代目に進化しました。
スペックに大きな違いがないように思えますが、細かいパーツが多く改良されています。
- 1㎏軽量化
- リアブレーキランプLED化
- コンロッド長さ変更
- ピストン形状変更
- アクセルレスポンス向上
- イグナイター軽量化
- バッテリー軽量小型化
- フロントフォーク軽量化
特にLED化されたテールライトは2輪車初採用で、ラムエアシステムに続き兄貴分のR1よりも先の最新技術採用です。
いつも最新技術を惜しげもなく採用しているので、R1よりもR6の方がヤマハのフラッグシップスポーツバイクといえますね。
意外とストリートでの評価が高い
R6は完全レースベースマシンとして設計されていますが、絶妙にコンパクトなポジションやレスポンスの良いエンジンがストリートユースからも高く評価されています。
有名バイクジャーナリストのつじつかさ氏が「公道で一番エキサイティングにスポーツできるのはR1ではなくR6だ」と自身の著書[ビッグバイクの探求]でコメントしていたのが印象に残っています。
バイクを評価する専門家が、ストリート重視のR1を差し置いて「ストリートで楽しいのはR1よりもR6」とコメントするほど公道を楽しめるマシンだったのです。
2003年 YZF-R6(5SL):どこまでもコーナーに突っ込める車体構成
更にエキサイティングさを高めた3代目YZF-R6は2003年に発売されました。
またもやR1を差し置いての最先端技術フル投入な上に約90%のパーツ見直し、モデルチェンジよりもほぼ新設計といえる内容になっています。
2重チタンエキゾーストパイプ
CFアルミダイキャスト製法のフレーム・スイングアーム
新世代のシリンダー
フューエルインジェクションに負圧ピストン追加
特にすごいのは、ヤマハの最新技術CFアルミダイキャスト製法が初採用されたフレームとスイングアームです。
CFアルミダイキャストとは、溶接や細かい造形が難しい素材であるアルミを効率良く作る新技術のこと。
新工法採用で薄く複雑な形状のアルミフレームを製造できるようになり、設計の幅が広がったのです。
筆者も所有していた5SL型はサーキットを走りたくなるマシン
▲2003年式YZF-R6でサーキット走行中の筆者
5SL型は最新フレームや新しいデザインが話題になりますが、所有していたライダーとしては「どこまでも吹き上がるように回るエンジン」が特に素晴らしいと感じたところです。
大げさではなく本当に「どこまでも回るエンジン」に思えるほど官能的で、レブリミッターとシフトアップインジケーターがなければシフト操作を忘れるほど。
R6はエンジンがとにかく魅力的なので「早くサーキットに走りに行きたい!」と感じさせるマシンなのです。
▲茨城県土浦市のトミンサーキットのピットから
すべての4気筒の中で最も官能的なエンジンフィール
▲R6で草レース中の筆者
筆者は250ccから1300ccまで数多くの4気筒エンジンのバイクに乗ってきましたが、その中で最高にエキサイティングなのはR6のエンジンでした。
たしかにほかの4気筒エンジンにも魅力はあります。
- FZR250の20500回転まで回るエンジン
- クロスプレーン型YZF-R1の独自性
- 隼の暴力的な動力性能
- CB650Rのオールラウンドさ
- CB1300の圧倒的なトルク感
- ホーネット250のカムギアトレーン
しかし87車種以上のバイクに乗ってきた筆者が、最も「官能的」「エキサイティング」なのは今でもR6のエンジンだと思っています。
「獣の咆哮のような荒々しいエンジンサウンド」 「どこまでも回る回転フィール」 「トルクの盛り上がりが3段階ある超高回転エンジン」
決して初心者向けではないので手なずけるのに苦労しますが、興奮度では「これ以上のエンジンはない」と断言できますよ。
同じ年式のCBR600RRとはまるで正反対
筆者は2003年式CBR600RRにも乗ったことがありますが、R6と印象がかなり違います。
- エンジンの回転フィールはまるでモーター
- トルク変動が少ないエンジンでとても扱いやすい
- 特に頑張らなくてもバンクさせるだけで鬼のように曲がる
- 超とっつきやすいミドルスーパースポーツ
- 正直ずるいと思うけど、素直すぎて面白くない
乗った印象は同じ年式でもR6とは真逆の味付け。
乗りこなすのが簡単なのは間違いなくCBR600RRですが、所有する興奮度とエキサイティングさは圧倒的にR6の方が高いですね。
2005年 YZF-R6(5SLマイナーチェンジ後):緻密な正常進化で全方位弱点なしのミドルSS
5SL型は2005年にマイナーチェンジされて、わずかにあった弱点がなくなりました。
- フレーム剛性バランス見直し
- フロントタイヤ扁平率を60→70に変更
- フルアジャスタブル倒立フォーク採用
- ブレーキマスターラジアル化
- ブレーキキャリパーマウントラジアル化
- 3馬力アップ
先ほどもお伝えしたように筆者は2003年型R6を所有していたのですが、不満な点が2箇所ありました。
①:フロント周りのフレーム剛性が高すぎるのでバランスを見直したい ②:フロントタイヤから曲がっていく特性にしたいので、フロントタイヤの扁平率を70にしたい
フロントタイヤはタイヤ交換と車高調整で対応していましたが、メインフレームの特性はユーザーでは対応できませんでした。
なので今回の進化を見て「ヤマハは私のためにマイナーチェンジしてくれたのか!」と感じて、2005年式R6に乗り換えるか迷ったのを覚えています。
5SL型を検討している人は、R6のエキサイティングなエンジンにCBR600RRのフロントから曲がる性能が追加されたマイナーチェンジ後がおすすめですよ。
バレンティーノ・ロッシのスペシャルカラーYZF-R46
マイナーチェンジ後の5SL型には特別なモデルがあります。
世界一有名なライダーであるバレンティーノ・ロッシ選手の特別カラーモデルで、本人のサインとシリアルナンバー付きで限定300台。
テルミニョーニ製スリップオンマフラー採用で、右半分が黄色で左半分が黒という独創的なカラーリングをしています。
バレンティーノ・ロッシ選手のゼッケンナンバー46番を冠した「YZF-R46」という特別な車種名が与えられました。
出会う確率はかなり低いといえますが、ロッシファンなら探し出したい一台ですね。
2006年 YZF-R6(2C0):最大rpmは20000回転
見た目も中身もすべてが大変革を遂げた4代目YZF-R6は2006年に発売されました。
何もかもが違うので変更点は「すべて」となってしまいますが、概要は下記の通り。
- CFアルミダイキャストフレーム新設計
- スリッパークラッチ採用
- サイレンサーチタン化
- サイドスタンドアルミ化
- 電子制御スロットル
- 新世代ECU
- EXUP採用
- マグネシウム製エンジンヘッドカバー
- エンジンをショートストローク化
- 圧縮比アップ
600ccから127馬力を叩き出す超高回転エンジンになり、タコメーターには2万回転の文字が刻まれています。
先代モデルも相当な高回転型エンジンでしたが、4代目R6は更にピークパワーを出すために低中速域を潔く切り捨てました。
「ストリートなんておまけだよ」と言い切るような極端にレース向きな立ち位置は、戦闘機のような新しいデザインにぴったりですね。
とことんまで性能を尖らせたのはCBR600RRに勝つため
1999年にYZF-R6がデビューしてから、スーパースポーツ世界選手権のメーカータイトルはヤマハが3連覇しました。
しかし2002年にタイトルを奪われてからホンダの連覇が続いているので、CBRの牙城を崩すため新型YZF-R6はスポーツ性能にフルコミット。
ほかにもスズキGSX-R600やカワサキZX-6Rなどライバルだらけ▼ 引用元
ショートマフラーも槍のように尖ったテールカウルもまさに戦闘機、全身が戦うために生まれてきたバイクといえますね。
2008年 YZF-R6(13S/1JS/2CX):超実戦型レーザーハンドリングマシン
5代目YZF-R6は2008年に発売されました。
ぱっと見ただけでは4代目と変わらないように見えますが、フレームから別物でカウルやマフラーの形状も変わっています。
- 電子制御インテークYCC-I採用
- アッパーカウル形状変更
- サイドカウルインテーク追加
- ポジションランプなど灯火類調整
特に進化したところはYCC-I電子制御インテークで、つまり可変ファンネルのことです。
ファンネルとは空気を吸う筒のことで、筒の長さはエンジン特性に影響します。
高回転時はファンネルが短い方が、低回転時はファンネルが長い方が高効率。
通常は随時ファンネルの長さを変えることはできないので、コンピューター制御でいつも適切な長さに調整するのが電子制御インテークの役割です。
サーキット性能向上のためのYCC-I電子制御インテーク
新型YZF-R6は乗りやすくなったのではなく、更に高回転のパワーを扱いやすくするために電子制御インテークを採用しました。
証拠はファンネルが動くのが、公道ではほぼ使わない13750rpm以上なこと。
今回のモデルチェンジでは
- 更に高回転重視に
- 更にハイスピード設定に
- 更にレース向きに
進化したということです。
その甲斐があって2009年のWSSメーカータイトルを奪い、ホンダの7連覇を止めることに成功しました。
5代目YZF-R6のモデルライフは9年と長寿命
5代目から6代目にフルモデルチェンジするまでには9年も掛かっていて、進化が激しいスーパースポーツというジャンルにしてはモデルライフが長すぎます。
主な理由は、
- モデルチェンジせずともレース界で好評だった
- 600ccのレースが下火になって、売れる台数が少なくなった
の2つです。
レースが下火になるのは良くある話で、過去にも何度も繰り返されてきました。
- あるジャンルのレースが流行る
- 各メーカー参入で盛り上がる
- 競争激化で車両価格が高騰
- 間口が狭まる
- ブーム終了
この流れの中でもフルモデルチェンジなしで売れ続けていたので、5代目YZF-R6が世界中で評価されたレースベースマシンである証ですね。
近年の国内地方レースでも多くのライダーが5代目R6と一緒に戦っています▼
2017年 YZF-R6(BN6):YZF-Rシリーズというブランドの一体感
9年ぶりのフルモデルチェンジで新しくなった6代目YZF-R6は、2017年に発売されました。
R1とデザインを揃えてカウル形状を大幅に変更、更に電子制御化と足回りが強化されたマシンに進化しています。
変更点は下記の通り。
カウルデザイン変更
トラクションコントロール6段階
クイックシフター(アップのみ)
R1と同じフロントフォーク
R1と同じブレーキディスク
R1と同じフロントホイール
マグネシウム製シートフレーム
アルミ製ガソリンタンク
空力性能大幅アップ
ABS標準装備
エンジンモード切り替え3種類
電子制御化と足回りのグレードアップがメインのモデルチェンジですが、「YZF-Rシリーズ」としてデザインに統一感を出してブランドイメージ全体の向上も狙っています。
登場からずっとライバルとしてR1を見据えていましたが、立ち位置を180度変えて「同じブランドの仲間」としてR1とは協力関係になりました。
電子制御化はさらなるサーキット性能向上のため
一般的には電子制御化が進むとバイクのストライクゾーンが増えて乗りやすくなることが多いのですが、YZF-R6はもちろん違います。
更にサーキット性能を上げるための電子制御化と足回り強化で、あくまでも限界性能をギリギリまで引き出すための進化なのです。
先代モデルですら普通の人にはとても使い切れないオーバークオリティーな足回りだったのに、更にグレードアップさせてくることが証拠ですね。
サーキット好きはYZF-R6を選んでしまう
6代目のR6は公道ではあまり見かけませんが、サーキットに行くとかなりの台数を目にします。
サーキットでよく見かけるようになったのは4代目R6からで、サーキットを走りたいライダーに多く選ばれている証拠ですね。
レーシングスーツを着てサーキットを走れば、多くのレース好きがYZF-R6を選ぶ理由がわかるはず、というかサーキットで乗らないと本当の魅力はわかりません。
筆者もハマったライダーの一人で、所有していた経験からも「サーキットを走ってみたら全然面白くなかった」なんて言う人はまずいないと断言できますよ。
一度だけでいいのでR6でサーキットに走りに行きましょう。きっと一度だけでは満足できなくなるはず。
R6 RACE/R6 GYTR:サーキット専用モデルとして更に光る存在感
▲R6 RACE
2020年モデルを最後に公道走行可能なR6は国内外すべて生産を終了しましたが、2022年からレースベース車両としてR6 RACEと豪華装備のR6 GYTRが欧州で発売されています。
GYTRは(Genuine Yamaha Technology Racing)の略で意味は「ヤマハ純正レーサー」
▲R6 GYTR
レースベース車両とは公道が走行できないレース専用車両のことで、レースに必要ないウインカーやナンバープレートステーなどは最初から外されています。
日本国内では受注生産で「YZF-R6レースベース車両」は販売されていますが、欧州のように「レースベース車の更に特別グレード」はないのでレース需要の多さがうらやましいですね。
R6 GYTRの概要は下記の通り。
- アクラポヴィッチ製レーシングフルエキゾースト
- ステンメッシュブレーキライン前後
- オプションの逆シフトキット
- リヤスプロケットプロテクター(シャークフィンタイプ)
- フロントブレーキレバーガード
- DIDゴールドレースチェーン(520コンバージョン)
- スプロケット15T/46T
- スプロケットナットセット(520コンバージョン用)
- リヤスタンドフック
- レーシングスタンド
- GYTR レース用カウルセット
- GYTR ECUセット
- GYTR オン/オフスイッチ
- GYTR AISプラグセット
- GYTR ABSエミュレーター
- GYTR キーレスタンクキャップ
- GYTR シートクッション
- GYTR フルアジャスタブルリヤショック
- GYTR ワイヤーハーネスセット
- GYTR インターフェースケーブル
更に詳しい内容は公式youtubeで確認できます▼
R6のスピリッツはサーキットで生き続けている
排ガス規制や600ccレースブーム終焉で存続が難しくなっていたR6が、レース専用車両として生き延びているのは本懐かもしれません。
規制に対応して牙を抜かれた公道走行車両として延命するよりも、レースベース車として特化すればさらに魅力を磨き上げることも可能だからです。
YZF-R6は後半のモデルになればなるほどサーキットに特化していったので、最終的にはサーキット専用モデルになったというのはある意味自然な流れですね。
ヤマハのミドルスーパースポーツにはR7がいる
▲2022年式 YZF-R7
2022年にYZF-R7という懐の広いミドルスーパースポーツが発売されたので、R6はますますレースに専念できる立場になりました。
もうこれでヤマハのミドルクラスの未来を心配する必要はありません。
きっとこれからもYZF-R6はサーキットで、官能的なエキゾーストノートを聞かせてくれるでしょう。
サーキットユースは最新モデル、公道向きなら2005年式までが一押し
公道走行可能なR6は1999年式から2020年式まで6世代あり、サーキット走行専用に使うなら予算の許す限り最新モデルが一押しです。
ただしサーキットの規模が小さい場合は別で、ミニサーキットならむしろ古いモデルの方が速く走れることがあります。
ツーリングにR6を使いたい人は2005年式までのモデルがおすすめで、2006年式以降はエンジン特性が超高回転すぎて公道レベルでは本領を発揮する時間がほぼありません。
走る場所別のおすすめYZF-R6
走りたい場所別にオススメモデルをまとめると以下の通りです。
- 4代目R6(2006年~)
- 5代目R6(2008年~)
- 6代目R6(2017年~)
- 上記のモデルで予算の許す限り新しいもの
- 初代R6(1999年~)
- 2代目R6(2001年~)
- 3代目R6(2003年~)
- YZF600R(1996年~)
- 初代R6(1999年~)
- 2代目R6(2001年~)
歴代YZF-R6のストリート&サーキット比率一覧表
YZF-R6はモデルチェンジが進むほどにレーサー色を強めていくので、歴代モデルがサーキットとストリートのどちらに主軸を置いているかを一覧表でまとめました。
ぜひ自分に一番ぴったりなR6を見つけてくださいね。
モデル名(型式) | 発売年度 | ストリート要素(%) | サーキット要素(%) |
---|---|---|---|
YZF600R(4WE) | 1996年 | 95% | 5% |
YZF-R6(5EB) | 1999年 | 40% | 60% |
YZF-R6(5MT) | 2001年 | 40% | 60% |
YZF-R6(5SL) | 2003年 | 25% | 75% |
YZF-R6(5SLマイナーチェンジ後) | 2005年 | 22% | 78% |
YZF-R6(2C0) | 2006年 | 10% | 90% |
YZF-R6(13S/1JS/2CX) | 2008年 | 5% | 95% |
YZF-R6(BN6) | 2017年 | 5% | 95% |
乗り換え時には今のバイクを高く売るのも重要
今回はYZF-R6について、中古相場や歴史、ユーザーの評判をお伝えしました。
乗り換えを検討してる方は是非参考にしてみて下さい。
また、バイクの売却や乗り換えの際は、写真だけでバイクが売れるカチエックスをご検討ください。
しつこい電話も面倒な現地査定の日程調整もなし!ネット完結で楽にバイクが売れますよ。
- 査定してもらうために、何店舗も回るのはめんどうだな
- 一括査定に申し込むと、いろんな業者から電話がかかってきて嫌だな
- 買いたたきや価格交渉も苦手だな
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