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CBR1000RRはいつが買い時?歴史やスペック、中古相場まで徹底解説|買いたい新書

CBR1000RRはいつが買い時?歴史やスペック、中古相場まで徹底解説|買いたい新書

「ホンダ流バイクを操る喜びとRacing DNA」

ホンダのフラッグシップスポーツCBR1000RRは2004年に発売されました。

今回は1992年式CBR900RRから2022年のCBR1000RR-Rまで、脈々と受け継がれている「RR」というホンダのスーパースポーツブランドの魅力を解説していきます。

この記事を読み終わったころにはCBR1000RRシリーズが欲しくなっているはずですよ。

中古相場や歴史や評判なども紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

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CBR1000RRとは?

CBR1000RRは2004年からホンダが販売しているリッタースーパースポーツです。

1992年にCBR900RRを発売して大型スポーツの地位を確立していたホンダが、MotoGPテクノロジー満載で作ったリッターSSとして話題になりました。

2000年以降は各社から多くのリッターSSが発売されましたが、中でもCBR1000RRは「最もモデルチェンジによってキャラクターを変えていったマシン」だと言えます。

ほかのリッタースーパースポーツに興味がある人は、別記事で詳しく紹介していますよ。

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【2024年版】1000ccスーパースポーツおすすめ10選【選ぶポイントも解説】

前身は大型バイクの常識を変えたCBR900RR

CBR900RRは「ストリートで最高に楽しめる大型バイク」として1992年に発売。

パワーと排気量のぎりぎりなバランスを追求、893ccという独自性で「大型バイクは大排気量ほどえらい」という当時の常識を変えました。

大型バイクでも楽しくスポーツできるという価値を世界に示したのが、CBR900RRというマシンです。

さらに929RR・954RRと進化を続けて2004年にCBR1000RRが発売されるまで、ホンダの大型スーパースポーツをけん引しました。

年式によってコンセプトが違う

CBR1000RRには大きく分けて4つのモデルがあり、それぞれかなりコンセプトが違います。

  1. 2004年発売(SC57):ストリートからサーキットまですべてカバーできるオールマイティーマシン
  2. 2008年発売(SC59):CBR900RRのコンセプト「ストリート第一主義」に原点回帰
  3. 2017年発売(SC77):サーキットを重視するも電子制御化でストリートもカバー
  4. 2020年発売のCBR1000RR-R(SC82):完全レース仕様でストリートは度外視

特に2020年発売のCBR1000RR-R(SC82)は、車種名が[RR]から[RR-R]に変わるほど別物のマシンになっています。

これからCBR1000RRを選ぶ人は「年式によっては全く別のマシン」だということを考慮して選んでください。

サーキット走行を想定

CBR1000RRからはWSBKのレギュレーション変更によってリッターフルスケールで開発されたため、サーキットでの使用を意識して開発されています。

900RRから受け継いだ「ストリートの楽しさ」を持ちつつ、サーキット走行もカバーするオールマイティなスポーツバイクがCBR1000RRです。

CBR1000RRの新車価格とスペック

(スペックは2019年式のもの)

型式2BL-SC77
メーカー希望小売価格1,895,000円
カラーグランプリレッド
全長(mm)2065
全幅(mm)720
全高(mm)1125
シート高(mm)820
車両重量(kg)196
総排気量(cc)999
最高出力192PS/13,000rpm
最大トルク11.5kgf・m/11,000rpm
エンジン形式水冷・4ストローク・並列4気筒・DOHC
燃費25.0km/l(60km走行時)、17.7km/l(WMTCモード値)
燃料供給方式フューエルインジェクション
燃料タンク容量 (L)16

CBR1000RRの中古相場

ここからはCBR1000RRの中古相場を型式別にご紹介していきます。

モデルケース中古価格

17389km
2004年式
SC57型
918,000円

17470km
2008年式
SC59型
848,000円

16942km
2017年式
SC77型
1,850,000円

15568km
2020年式
CBR1000RR-R(SC82型)
2,394,900円

2008年のSC59型以前は、状態にもよりますが100万円以下の場合が多いようです。

2017年のSC77型以降は150万円以上が相場となっていますね。

CBR1000RRの評判・口コミ

CBR1000RRの評判・口コミ

座り心地3.4
積載性3.0
風の抵抗3.5
走行性能4.5
取り回し3.6

ここからはCBR1000RRに乗ったことがある人に、アンケートを取った結果をご紹介していきます。

やはり圧倒的な走行性能に高い評価をつける人が多かったですね。中古で購入してる方が7割で、平均購入価格は約140万円でした。

良い評判・口コミ

走行性能が良いのはもちろん、安定感が抜群でカーブもスピードに乗ったまま曲がれる(男性、40代、175cm)
スポーティーなフォルム・デザインで外観がとても気に入っています。スムーズな加速感と走行安定性に優れていることも魅力です。(男性、30代、180cm)
見た目が少しゴツイ割にはしなやかなバランス性の走りが可能で、特にカーブの走行時にはその快適さがわかります。コーナリングを綺麗に決められる安定性があるのは良さです。全体的にスリムなことで乗り降りがしやすいです。そこはビギナー向けで良いと思います。(男性、30代、173cm)

安定しつつ、スムーズなコーナリングや加速を味わえる走行性能の高さが好評ですね。

型式によってデザインは結構変わりますが、デザインに対して高評価を付けている人もいました。

イマイチな評判・口コミ

エンジンの静音性などの面を考慮すると街乗りには適していないのでその点はマイナスです。(男性、30代、180cm)
タンデムシートが狭いので、2人乗りはしにくい。ハンドル切れ角がないので、ユーターンしにくい。(男性、50代、172cm)
シートが薄くて硬いので、ある程度運転しているとお尻が痛くなってしまうのはデメリットに感じていました。(男性、30代、173cm)

型式にもよりますが、レース仕様に特化させてるモデルだと街乗りは結構厳しいですね。

また、SSなので仕方ない部分はありますが、燃費や乗り心地はあまり良くないと言ってる人もいましたね。用途をしっかり考えて選ぶ必要がありそうです。

おすすめな人

休日に自然豊かなエリアで気ままなツーリングをしたり、レジャーで移動する際に乗るのに適していると感じます。実用性の面では、普段乗りよりアクティブに楽しむ目的でバイクに乗りたい人におすすめです。
飽きがこないデザインと高い操作性や耐久性が魅力なので、「長く乗り続けたい人」や「ツーリングメインも街乗りも楽しみたい」という人におすすめです。
高速道路や峠など、とにかくアクティブに運転して様々な場所へ行きたい方にはおすすめです。

どちらかと言うと、普段使いよりアクティブにツーリングメインで使う人におすすめですね。

CBR1000RRのカスタム

引用元

ここからはCBR1000RRのオススメなカスタマイズを紹介していきます。

CBR1000RRのような完成したSSは、ハンドルやバックステップなどポジションを変更するカスタムはあまりおすすめしません。

理由はスポーツバイクほど荷重位置が重要で、下手に変更しない方が良いからです。

軽量化できるマフラーと各種ガードやスライダーが、本来の魅力を損なわずに楽しめるカスタムだと言えますね。

CBR1000RRの代表的なカスタム事例

引用元

センターアップマフラーを「あえてセンター+右の2本出し」にするところはカスタム感が高いですね。

後半のCBR1000RRはショートマフラーになってしまったので「あえて2本出し」が出来なくなってしまったのが残念。

CBR1000RRの代表的なカスタムパーツ

ここからはパーツごとにおすすめのカスタムパーツを紹介します。

フルエキゾーストマフラー

▲MORIWAKI(モリワキ) ZERO GP ANO フルエキマフラー 引用元

CBR1000RR(SC57)対応のフルエキマフラーで、当時の定価で約20万円しました。

見た目のレーシーさとは違って、車検対応のおとなしめのエンジンサウンドです。上記のリンクからサウンドを確認してください。

CBR1000RRがセンターアップマフラーの時代にとても流行ったマフラーで、ノーマルと違ったレイアウトはとても映えますね。

フレームスライダー

▲引用元

CBR1000RR-R(SC82)用のベビーフェイス製フレームスライダー。

フレームスライダー(1万4300円〜)は2種類の長さが用意されています。

高価なフルカウルマシンの外装は立ちごけでも結構な修理金額になるので、転倒時のダメージを軽減するパーツを導入すれば結果的に安くつくはずですよ。

エンジンスライダー

引用元

CBR1000RR-R(SC82)用のベビーフェイス製エンジンスライダーです。

エンジンスライダー(1万780円)は、転倒時などにダメージを受けやすい右クランクケースカバーを保護。

上記のフレームスライダーとの同時装着でさらに安心感がアップしますよ。

CBR1000RRの歴史

ここからはCBR1000RRの進化の歴史を解説していきます。

1992年 CBR900RR(SC28前期)【普通の人でも操って楽しい大型バイクを作る】

CBR1000RRを語る上で外せない先祖となる初代CBR900RRは1992年に発売。

ナナハンでもリッターオーバーでない893cc・124馬力という中途半端なスペックで、当時の流行りとは全くかけ離れたマシンでした。

ホンダがどうしてこんなバイクを作ったかというと「ホンダのバイクは良くできているけどつまらない」というイメージを払拭するため。

「じゃあ最高に面白い大型バイクを作ってやろうじゃないか」として立てた目標は下記の通りです。

  • 乾燥重量185kg以下
  • 600ccクラスのコンパクトな車体
  • ストリートで操って良い汗がかけるバイク

実現のためには750ccではトルク不足、かといって1100ccでは軽量に作れない。

テストを重ねた結果出た答えが、排気量893cc・124馬力・乾燥重量185kgでした。

流行りを追わずに信念を押し切り発売

普通バイクを作るときは営業サイドから「今はこんなバイクが流行ってるからこんな感じで作ってくれ」という注文があるものです。

ですが初代900RRは、当時の流行りをすべて無視したような形で設計されています。

1992年はリッターオーバーで140馬力以上が当たり前だった時代で、VMAXやZZR1100が人気でした。

「排気量は大きければ大きいだけ売れる」「馬力はあればあるだけ良い」という時代だったのです。

ところが初代CBR900RRを発売したら、「素晴らしいハンドリングだ」「まるでNSRの900cc版のような軽快さだ」と大絶賛。

販売台数2万台以上とメーカー側が驚くほどの売上でした。

良いバイクかどうかは乗ればわかる

引用元

  • フロントタイヤ16インチ
  • セオリー無視の893cc・124馬力という中途半端なパワー
  • 最高速重視の時代に軽量コンパクトな大型バイク
  • 目を引くスペックよりトータルバランス

大ヒットの要素が全く見当たらない初代CBR900RRが世界で認められた理由はただ一つ。

「乗ってみたら、楽しかった!」これに尽きます。

「ストリートでも大型バイクを思いっきり楽しめる」という新しい価値観を提供した900RRは、「RR]というブランドを世界に示したのです。

1994年 CBR900RR(SC28後期)【ユーザーが増えても初期コンセプトを堅持】

フロント周りを軽くしてさらにクイックなハンドリングを実現させるため、調整が入った2代目CBR900RRの主な変更点は下記の通り。

  • マグネシウム製シリンダーヘッドカバー
  • カウル取り付けステーのアルミ化
  • フロントフォーク縮み側のアジャスター追加
  • フロントライトの形状変更

初代CBR900RRは制作サイドも驚くほどのヒットで知名度が上がり、

「ツーリングにも使いたい」「2人乗りでも使いたい」「荷物を積みたい」などいろいろな要望があったそうです。

それにも関わらず、フロント周りの軽量化でさらなるハンドリングの向上を狙うところに、ぶれないコンセプトを感じられて好印象ですね。

1996年 CBR900RR(SC33前期)【919RRがRRの間口を広げた】

3代目となったCBR900RRの主な変更点は次の通りです。

  • 排気量を918ccに拡大して4馬力アップ
  • フレーム新設計
  • エキゾーストパイプをステンレス化
  • ジェネレーター小型化

CBR900RRは驚くほどの大ヒットで世界中に認知されたため、3代目のSC33型に進化する際には大きなプレッシャーが掛かっていました。

「優等生過ぎてホンダのバイクはつまらない」という意見を払拭するために作られたので、CBR900RRはハンドリングがクイックな玄人向けのマシン。しかし世界中に認知された人気モデルになったため、多くのユーザーの意見を反映させる必要がありました。

そのため、フレームやアクセルレスポンスを見直し、クイックなハンドリングを犠牲にせず乗りやすさも追求したモデルへと進化。

排気量が918ccになったので、SC28型との区別のために「CBR919RR」や「919」という愛称でファンからは呼ばれていますね。

1998年 CBR900RR(SC33後期)【RRの魅力は一部の人に伝われば良い】

SC33前期型はユーザーの間口を広げるために乗りやすさの改善を行った結果、逆にエキスパートライダーが満足できない味付けになっていました。

なので、SC33後期型では上級者も満足できるように乗りやすさを維持したまま、フレームやキャブレター、ブレーキ、足回りなど多くの改良を施しました。

SC33後期型はCBR900RRシリーズの最終モデル

SC33後期型は最後のCBR900RRシリーズで、次期モデルから特徴が大きく変わります。

CBR900RRの主な特徴
  • そばかすフロントカウル
  • フロントタイヤ16インチ
  • キャブレター
  • 正立フロントフォーク

2000年からはCBR929RRに進化するので「900RRらしさ」が欲しい人は、SC33型後期モデルがおすすめですよ。

2000年 CBR929RR(SC44)【ピボットレスフレームで鬼の軽量化】

排気量を929ccまで拡大してショートストローク化、パワーが152馬力にアップしたCBR929RRのSC44型は2000年にデビューしました。

軽量化のためメインフレームをピボットレスにして、排気量に合わせて車名を900RRから929RRへと変更。

900RRだった頃の特徴をほぼ捨て去り、918ccの頃には変えなかった車名まで変えてきたのは、1998年にヤマハがYZF-R1を発表したからです。

初代R1のストリップ画像が公開されたとき、ライバルメーカーの技術者は戦慄したはず。

▼1998年式 初代YZF-R1のストリップ 引用元

GPマシンと見間違うほどギュッと詰まったフレームとエンジンは、マスの集中化が新時代に入った証拠です。

929RRから一気に現代的SSに進化

CBR929RRは車名が変わる以上に中身が大幅に進化して、いわゆる普通のリッターSSになりました。

  • フロントタイヤ16→17インチ化
  • 倒立フロントフォーク
  • 極薄の液晶メーターパネル
  • チタン製エキゾーストパイプ
  • ピボットレスフレーム
  • 乾燥重量170kg

一番の売りは10kg軽量化して、乾燥重量がリッタークラス最軽量の170kgになったことです。

軽量化にはピボットレスフレームが大きく貢献しました。

引用元

ピボットレスフレームとは文字通りスイングアームを取り付けるピボットがないフレームのことです。

スイングアームをエンジンの後方部に直接付けたことで、フレームの後方部をカットし軽量化を実現。

「YZF-R1には絶対に負けないぞ」という気迫が、929RRからは伝わってきますね。

R1とは永遠のライバルとして、この後20年以上も争い続けます。

2002年 CBR954RR(SC50)【歴代RR最恐の悪役デザイン】

エンジンのボアを1mm拡大して954cc・151馬力までパワーアップしたCBR954RRのSC50型は、2002年に発売されました。

929RRの発売からわずか2年でフルモデルチェンジしたのは、YZF-R1に続いて初代GSX-R1000が2001年に発売されたからです。

対抗するために954RRは乾燥重量170kgのままでパワーアップさせた上に、全体的に改良を加えました。

①チタン製エキゾーストパイプ&サイレンサー

②カウルデザイン変更

歴代CBRシリーズの中で最も悪役顔なフロントマスクで存在感をアピール▼

当時はCBR900RRが開拓した「大型スーパースポーツ」にライバルメーカーがこぞって参入してきたので、リッターSSのモデルライフが非常に短い時期ですね。

CBR954RRまではストリート主軸の設計

954RRになるまでCBR900RRから一貫してストリート第一主義だという証拠が、リアシートにヒンジがついていることです▼

各パーツを見直しグラム単位の軽量化をする過程で、リアシートのヒンジを継続採用したのは「軽量化はしたい、でもユーザーの利便性を削る軽量化はしない」という信念があったから。

CBR900RRはレースベース車ではなく、ストリートで良い汗をかくための大型バイクであり続けた証拠ですね。

2004年 CBR1000RR(SC57前期)【世界で最もおさまりの良いセンターアップマフラー】

スーパーバイク世界選手権(WSBK)のレギュレーションが750cc→1000ccに変更されたため、リッターフルスケール998ccへと生まれ変わったCBR1000RRのSC57前期型。

設計チームもCBR900RRの頃とガラッと変わり、MotoGP車両RC211Vを手がけたメンバーに変更しています。

CBR1000RRはMotoGPテクノロジーてんこもりのリッターSSに変貌を遂げ、CBR900RRとは全く違うマシンになりました。

①HESD電子制御ステアリングダンパー

②ユニットプロリンク

③センターアップマフラー

ユニットプロリンク&センタアップマフラーという独自性

ユニットプロリンクとはホンダ独自のリアサスペンションの設置方法で、リア周りの動きがすべてスイングアームだけで完結する設計のこと。

特徴はリアサスペンションの一端をメインフレームの後部ではなく、スイングアームに取り付けていることです▼

メリットはスイングアームだけでリアのサスペンションの動きが完結するので、メインフレームへの負荷が減り設計の自由度が上がること。

リアサスペンションがバネ下重量に組み込まれてしまうというデメリットもありますが、メリットの方が大きくユニットプロリンクはCBR1000RRに採用され続けます。

ちなみにマスの集中化に逆行しているセンターアップマフラーだけは、「かっこいいから」という理由で採用していたそうです。

CBR1000RRは理詰めだけで設計されていないところが、サーキット全振りではなくストリートも楽しめるバイクだという証ですね。

2006年 CBR1000RR(SC57後期)【スラントノーズCBR1000RRの最終型】

SC57前期型の基本コンセプトを引き継ぎつつ、車体全体に見直しが入ったSC57後期型のCBR1000RRは2006年に発売されました。

  • 約4kg軽量化
  • カウルの形状を見直しで空気抵抗最適化
  • マグネシウム製ジェネレーターカバー
  • ECU小型化
  • ホース関係の見直し

涙ぐましい努力で各パーツごとに少しずつ軽量化して集めた4kgは、まさに魂の4kg▼

見た目は2004年モデルと大差ないので見逃してしまいますが、スラントノーズCBR1000RRの最終型は現在でも高い評価を受けている弱点のない名車です。

2008年 CBR1000RR(SC59前期)【ストリート主軸の原点回帰】

1992年にCBR900RRが登場してから一番大きく変わったモデルチェンジで、大変貌を遂げたSC59前期型。

見た目も中身もすべてが違うと言えるほど変更点があります。

①ショートマフラー化

②ショートテール化

③フロントカウルをショート化

徹底した小型化、マスの集中化、空力の最適化の末に導き出された形は「理詰めで設計したらこうなった」というデザイン。

決して見た目だけのためにデザインしてるのではなく、あくまでレースで勝つために必要な性能を追求した結果です。

SC59前期型はレーサーのような性能のみを追求したモデルチェンジのおかげで、装備重量199kgというクラス最軽量に返り咲きました。

ストリートユースのためのフルモデルチェンジ

SC59前期型はレーサーのように理詰めで設計されていますが、目指したのは「レースベース化」ではなく「ストリートへの最適化」です。

SC59前期型は、

  • リッターマシンとは思えないほどコンパクト
  • まるでツアラーかと思えるほどフレンドリーなポジション
  • ミドルクラスのスポーツ性能

を実現しているので、ストリートユースであれば不満を感じる人はまずいないでしょう。

ホンダのバイクは「初心者からベテランまでをカバーする優等生バイク」と言われることがありますが、このモデルだけは本当にそう言っても過言ではありません。

SC59前期型はSS(スーパースポーツ)からRRへ原点回帰

今回のモデルチェンジで大きくコンセプトを変更した理由は、CBR-RRシリーズとしての原点回帰のためです。

CBR-RRシリーズは本来「最高の性能を備えたストリートバイク」でした。

初代CBR1000RR(SC57型)は乗りやすいモデルではありますが、レースベース車として使われることを想定したモデルでスーパースポーツ(SS)的な味付け。

SC59はホンダの技術を総動員して、CBR1000RRを「CBR900RRのような最高のストリートバイク」として作り直したモデルなのです。

2012年 CBR1000RR/SP(SC59後期)【一人乗り専用モデルSPグレード設定開始】

全体的に調整が入り、特に足回りが強化されたSC59後期型は2012年に発売されました。

  • ホイール形状見直しで12本スポーク化
  • ビッグピストンフロントフォーク
  • バランスフリーリアサスペンション

車両重量は1kg増えていますが、これほど足回りがグレードアップしたのに価格据え置きなのはすごいですよね。

SC59後期型からSPグレードを追加

このモデルから追加した一人乗り専用のSPモデルの内容は下記の通り。

  • ブレンボ製ブレーキキャリパー(フロントのみ)
  • 前後サスペンションをオーリンズ製
  • シートフレームをアルミ製に変更
  • エンジン内部パーツは精度を選定したパーツのみ使用

とても手間のかかったスペシャルなモデルで203万円(税込)とお値段は張りますが、買ったユーザーは間違いなく満足したはずです。

2015年01月にはCBR1000RR SP Champion Specialが発売されました▼

SC59後期型SPグレードのレプソルカラーは、受注生産なので出会えたらラッキーですよ。

2017年 CBR1000RR/SP1/SP2(SC77)【ホンダワークスHRCの市販車ベースレース復帰】

スーパーバイクのレギュレーションに合わせて一気に電子制御化が進んだSC77型は、2017年に発売されました。

  • ウイリーコントロール
  • トラクションコントロール9段階
  • コーナリングABS
  • モードを変えられるパワーセレクター
  • 選べるエンジンブレーキ

など改良が進んでいます。

また、

  • 圧縮比アップで12馬力アップ
  • カムシャフト見直し
  • ホイールデザイン変更

などの変更も加えられました。

電子制御化が進んでレース向きのみの進化ではありません。電子デバイスを付ければ普段使いの安全性が増すからです。

バイクの電子制御化のメリットは、1台のバイクでカバーできる範囲が広がること。

SC59型よりもレース志向にはなりましたが、SC77型はストリートでも十分に楽しめるマシンですよ。

車体デザインも一新して、フルLED灯火系がさらに先進的になっています(画像は3つすべてSP)▼

SC77型からはSP1・SP2グレードを設定

一人乗りのSPモデルはSC77型でも継続採用で、SP1・SP2の2グレードから選べます。

CBR1000RR SP1の仕様
  • フロントのみブレンボキャリパー
  • チタン製エンジンタンク
  • クイックシフター(アップダウン両方対応)
  • 価格2,462,400円(税込)

CBR1000RR SP2の仕様
  • 専用ピストン
  • 専用エンジン
  • マルケジーニホイール
  • 価格3,024,000円(税込)

打倒YZF-R1のために鈴鹿8耐ワークス参戦を表明

SP1だけではなくSP2まで設定している理由は、ヤマハのYZF-R1を止めないといけないからです。

鈴鹿8耐では2015年から2017年までの3年間YZF-R1が総合優勝を果たしています。

ホンダとしては2018年に4連覇はさせられないため、ワークスでの参戦を表明。

ホンダのレース部門HRCは鈴鹿8耐やWSBKにワークス参戦するのは消極的でしたが、重い腰を上げさせるほどYZF-R1の連勝が脅威だったのですね。

2020年 CBR1000RR-R/SP(SC82)【完全レースベースマシンの再来】

CBR1000RRに「R」がさらに加わり、CBR1000RR-RとなったSC82型。

車種名をわざわざ変えてくるほど今までのCBR1000RRとは全く別物で、SC82型は完全レース志向のマシンとして設計されています。

SC82型の特徴は下記の通り。

  • 装備重量201kg
  • 最高出力218馬力
  • 新設計フィンガーフォロワー採用のエンジン
  • チタン製コンロッド
  • セミカムギアトレイン
  • 6軸IMU
  • キーレス
  • アクラポビッチマフラー
  • ブレンボ製リアキャリパー
  • ユニットプロリンク廃止

ピークパワーを限界まで上げるには、センターエアダクトのストレート化でラムエアの効率を上げる必要があります。

結果、キーシリンダーの配置場所がなくなりキーレス仕様にしているところが、ピークパワー重視の設計といえますね。

普通の人には全くおすすめできないマシン

「CBR1000RRはサーキットよりもストリート主体じゃないのか」と言うファンが多いはずですが、「だから車種名を変えて違うモデルにしてるんですよ」とホンダは答えるでしょう。

まるで2スト250ccレーサーかと思うほどの超高回転エンジンで、ピークパワーを出すために低中速域を潔く切り捨てています▼

サーキットで走ったとしてもよほど腕に自信がある人でない限り、先代モデルのSC77型より速く走るのは難しいはず。

「こんなピーキーな設定を1000ccでやるのか!」と叫びたくなるほどに普段使いを度外視した設計ですが、レースで絶対に勝ちたいエキスパート層だけはさぞ喜んだでしょう。

誤解を恐れずに言うとCBR1000RR-Rは「普通の人には全くおすすめできないマシン」なのです。

勝つためのホモロゲーションマシン

CBR1000RR-RはHRCが18年ぶりにWSBKにワークス参戦するために生まれたホモロゲーションマシンです。

ホモロゲーションマシンとは、市販車ベースの車両による競技に参戦するために開発・販売されたマシンのこと。

CBR900RRから最終型のCBR1000RRまでは、モデルによって程度の差はありますが「楽しむためのマシン」でした。

CBR1000RR-Rは全く存在意義が違います。

「レースで勝つのが目的」 「楽しいマシンかどうかは関係ない」 「良いバイクかどうかは勝利数」

いままでのRRシリーズとは全く異色で、RR-RはRRレーサーと言えばわかりやすいかもしれませんね。

過去にホンダから発売されたホモロゲーションマシンは、

▼RC30

▼VTR1000SP-1

などですが、きっとCBR1000RR-Rもホモロゲーションマシンの名車として語り継がれるでしょう。

歴代CBRのおすすめモデルはストリート派とサーキット派とで違う

初代CBR900RRや2008年式SC59型はストリート向けのバイクでしたが、2017年式SC77型はサーキット向きになり、2020年SC82型は完全サーキット仕様となっています。

オススメモデルを目的別にまとめると、

ストリート派
  • CBR900RR
  • CBR929RR
  • CBR954RR
  • SC59前期&後期

サーキットもストリートも両方楽しみたい派
  • SC57前期&後期
  • SC77

サーキットしか走らないエキスパートライダー
  • CBR1000RR-R

となります。

歴代CBRシリーズのストリート&サーキット比率一覧表

CBR1000RRシリーズは年式によってかなり設計思想が変わるので、CBR900RRからCBR1000RRの歴代モデルがサーキットとストリートのどちらに主軸を置いているかを一覧表でまとめました。

歴代のCBR1000RRシリーズをこれから選ぶ人は参考にしてください。

モデル名(型式)発売年度ストリート要素(%)サーキット要素(%)
CBR900RR(SC28前期)1992年90%10%
CBR900RR(SC28後期)1994年90%10%
CBR900RR(SC33前期)1996年90%10%
CBR900RR(SC33後期)1998年90%10%
CBR929RR(SC44)2000年90%10%
CBR954RR(SC50)2002年85%15%
CBR1000RR(SC57前期)2004年60%40%
CBR1000RR(SC57後期)2006年55%45%
CBR1000RR(SC59前期)2008年85%15%
CBR1000RR/SP(SC59後期)2012年80%20%
CBR1000RR/SP1/SP2(SC77)2017年40%60%
CBR1000RR/SP(SC82)2020年1%99%

乗り換え時には今のバイクを高く売るのも重要

今回はCBR1000RRについて、中古相場や歴史、ユーザーの評判をお伝えしました。

乗り換えを検討してる方は是非参考にしてみて下さい。

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【この記事を書いたライター】よしのパパ