「一貫したコンセプトは、乗りやすさ=速さ」
スズキのフラッグシップスーパースポーツであるGSX-R1000は、2001年に発売されました。
今回は世界中のサーキットと公道を席巻した、スズキのリッタースーパースポーツGSX-R1000の魅力を解説していきます。
この記事を読み終わる頃にはGSX-R1000の虜になっていることでしょう。
中古相場や歴史や評判なども紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
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GSX-R1000とは?
GSX-R1000はスズキが2001年から販売しているリッタースーパースポーツです。
初代モデルから乾燥重量170kg・最高出力160馬力というスペックで登場して、リッターマシンの常識を変えました。
当時のレースレギュレーションは750ccが上限だったので、リッタースーパースポーツにはまだセオリーがなく過渡期の状態。
そこでGSX-R1000はGSX-R750をベースにしてリッターマシンを作る、という手法で設計されました。
「750ccの車体にリッターのトルク」で大成功
初代GSX-R1000は2000年式GSX-R750をベースに開発されました。
ゼロから新規開発しなかった理由は、R750と車体を共有化すれば製造コストが下げられて「安くて良いものを提供する」というスズキの企業理念が実現できるから。
750ccをベースにしたのでエンジンの横幅が制限された結果、リッターSSとしては珍しい超ロングストロークエンジンのマシンになりました。
- コンパクトな車体で扱いやすい
- ロングストロークエンジンで乗りやすい
初代の時点でGSX-R1000のアイデンティティーを兼ね備えていたのです。
初代から変わらないコンセプト「乗りやすさ=速さ」
GSX-R1000には初代から最新モデルまで「乗りやすさ=速さ」という一貫したコンセプトがあります。
レースで勝つためには当然パワーが必要ですが、ただピークパワーだけ上げても乗りにくいマシンになってしまい結果的にレースでは勝てません。
いくら超高性能SSでも公道用市販車は一般道で使うユーザーの方が多いので、ピーキーなバイクは使いにくいマシンとして受け入れられなくなってしまいます。
GSX-R1000は「乗りやすい=速い」という机上の空論のような理想を掲げているので、もしレースで結果を残していなかったら「ただ乗りやすいだけのバイク」という評価だったでしょう。
世界中のプライベーターからの圧倒的な支持
1985年にGSX-R750が発売された頃から有名な話があります。
『油冷エンジンの耐久テストをしているときに、開発陣は壊すつもりで24時間耐久テストを実施するも結局最後まで壊れなかった』という話です。
世界中のレース愛好家がGSX-R1000を愛用する理由は高い耐久性にあります。
- 価格がリーズナブル
- 乗りやすい
- 好成績が出る
- 使い倒してもなかなか壊れない
レースに使うバイクとしてこれ以上の条件はありませんよね。
GSX-R1000の新車価格とスペック
(スペックは2022年式の国内仕様のもの)
型式 | 2BL-DM11G |
---|---|
メーカー希望小売価格(税込) | 2,156,000 |
カラー | トリトンブルーメタリック×ミスティックシルバーメタリック |
全長(mm) | 2075 |
全幅(mm) | 705 |
全高(mm) | 1145 |
シート高(mm) | 825 |
車両重量(kg) | 203 |
総排気量(cc) | 999 |
最高出力 | 197PS/13,200rpm |
最大トルク | 11.9kgf・m/10,800rpm |
エンジン形式 | 水冷・4ストローク・並列4気筒・DOHC |
燃費 | 22.1km/l(60km走行時)、16.6km/l(WMTCモード値) |
燃料供給方式 | フューエルインジェクション |
燃料タンク容量 (L) | 16 |
GSX-R1000の中古相場
ここからはGSX-R1000の中古相場を型式別にご紹介していきます。
モデルケース | 中古価格 |
---|---|
① 17260km 2001年式 初期型 | 578,000円 |
② 17669km 2005年式 3代目 | 798,000円 |
③ 18039km 2010年式 ノーマル 五代目 | 865,000円 |
④ 14986km 2017年式 2BL-DM11G型(日本初登場) フェンダーレスキット装備 | 1,508,000円 |
同じくらいの走行距離だと型式ごとに20~30万円ほど価格に差がありますね。
状態にもよりますが、2010年以降のモデルは100万円を超える価格で取引されることが多いようです。
GSX-R1000の評判・口コミ
座り心地 | 3.5 |
---|---|
足つきの良さ | 3.1 |
積載性 | 2.8 |
走行性能 | 4.5 |
取り回し | 3.6 |
ここからは実際にGSX-R1000に乗っているユーザーに聞いた口コミや評判をお伝えしていきます。
8割ほどの方が中古で購入しており、平均購入価格は946,269円でした。
また、数名の女性ライダーの回答もあり、洗練されたデザインとスペックの高さは男女ともに人気も高いことが伺えますね。
良い評判・口コミ
車重の軽さからくる加速の速さのハンパなさが良い、スタートダッシュでは、車はもちろん、当時の他のバイクより断然ノーマルから速かった。(男性、40代、174cm)
とにかく速い(こんな性能が本当に必要なのか?というレベル)、GSXR750ベースの車体が軽く軽快、ロングストローク特有のトルクのあるエンジン性能、シートは意外と座り易い。(女性、40代、162cm)
電子デバイスが他のメーカーのSSと比べても素晴らしいと思いました。他のSSですとアクセルワークに気を使う所がありましたが、GSX-R1000の場合は多少、雑な開け方をしてもリアが滑り出すという事はほとんど経験がありませんでしたね。何か、自分がとてもバイクに乗るのが上手になった気分にさせてくれます。(男性、50代、171cm)
性能や走りの良さに対して高評価をしてる人が大半でしたね。
車体が軽くて取り回しも良く、意外と座り心地も良いのでツーリングには最適なバイクです。
悪い評判・口コミ
乗りやすいし、スピードもかなり出るので、スピードを出し過ぎてしまう頃(女性、20代、160cm)
燃費は悪いし荷物を積むのも向いていないので不便である。乗っている時体勢がきついので慣れるまでは大変である。スピードが出すぎるので街乗りではストレスがある。(男性、40代、173cm)
他のSSと比べての話になりますが、多少、マイルド感があるのが気になりました。SSなのでもう少しとんがったパワー感ですとかトルク感があっても良いなと思いました。ソロでは気になりませんが、他メーカーのSSと一緒に峠などを走るとワンテンポ、置いていかれるような気がします。(男性、50代、171cm)
走行性能の良さはメリットでもありますが、加速が良すぎることが逆にデメリットになる場合もありそうですね。
また、SSなので仕方ないですが積載性は低いので、荷物をたくさん積んでのツーリングには向いてなさそうです。
おすすめな人
とにかく速いバイクが欲しい人、街乗りは苦痛、峠は危ないので、サーキット走行がお勧め。
スポーティーな走りを楽しみたい方や高速道路等で快適な走行を得たい方におすすめです。
見た目重視の人には向いている。あと山道などカーブの多いところを攻めたい人やサーキット走行をしたい人にも向いていると思う。
GSX-R1000のカスタム
▲2001年式GSX-R1000ベースのヨシムラコンプリートマシンTORNADO S-1 引用元
ここからはGSX-R1000のオススメなカスタマイズを紹介していきます。
GSX-R1000はノーマルの時点で高バランスなパッケージングなので、ハンドルやバックステップなどポジションを変更するカスタムはあまりおすすめしません。
スポーツバイクほど荷重位置が重要で下手に変更しない方が良いからです。
軽量化できるマフラーとセッティングの幅が広がるサスペンションが、GSX-R1000の魅力を失わないまま楽しめるカスタムだといえます。
GSX-R1000の代表的なカスタム事例
ノーマルの完成度が高いGSX-R1000は、オーナーのレベルに合わせてパーツのグレードを上げるカスタムがおすすめ。
例えばブレーキ関係ならマスターシリンダーのみ高級品に変更してブレーキタッチの向上だけを狙うカスタムなどです。
ブレーキをカスタムするときはレバー比を変えないことがポイントで、ノーマルの設定を大きく変えないことがGSX-R1000の魅力を失わないままカスタムを楽しむコツですよ。
GSX-R1000の代表的なカスタムパーツ
ここからはパーツごとにおすすめのカスタムパーツを紹介していきます。
スリップオンマフラー
引用元 ▲ヨシムラ製スリップオンマフラーR-11Sqサイクロン
GSX-R1000のエンジン特性は乗りやすさのために最適化されているので、特性が大きく変わるフルエキゾースト交換よりもスリップオンサイレンサーのみの交換がおすすめ。
スリップオンマフラーの交換なら、エンジン特性を大きく変えずに音の変化とドレスアップを楽しめるからです。
ヨシムラはスズキと特に懇意にしているメーカーで、ヨシムラの製品カタログはスズキのページが一番上にあるのは有名な話。
スズキのバイクはヨシムラ製品との相性が良いのでチェックしてくださいね。
フロントフォーク
引用元 ▲オーリンズ製FGRT224
GSX-R1000の足回りがどれだけ優秀でも、すべてのオーナーを100%満足させることはできません。
純正のセッティングに不満がある人は、社外のサスペンションを検討してみましょう。
リプレイスサスペンションは調整幅が広いので、オーナーの好みにドンピシャで合わせることが出来ます。
セッティングを煮詰めるには経験が必要なので、セッティングノウハウが豊富なショップと仲良く付き合いながらバイクライフを楽しむのがマシンを仕上げる近道ですよ。
シングルシートカバー
引用元 ▲スズキ純正シングルシートカバー
SSはタンデムする機会が少ないジャンルなので、スタイリッシュにドレスアップするにはシングルシートカバーが一押し。
純正品なのでカラー合わせや仕上げの面でも信頼性は抜群です。
GSX-R1000の歴史
ここからはGSX-R1000の進化の歴史を解説していきます。
1985~2000年 GSX-R750[元祖スーパースポーツ]
GSX-R1000のルーツは1985年に発売されたGSX-R750までさかのぼります。
GSX-R750とはスズキ初の油冷エンジンを搭載したスポーツバイクで、スーパースポーツという新しいジャンルを開拓した歴史的な名車です。
- 乾燥重量179kg
- 最高出力107馬力
- 当時レーサーくらいにしか採用例がないアルミフレーム
- 油冷という聞きなれないエンジン形式
話題性の塊のようなバイクで、当時の大型バイクの常識を変えました。
GSX-R750はアルミフレームと油冷エンジンで大型バイクの常識を変えた
当時の大型バイクといえば直線番長のようなバイクが多く、パワーがある代わりに重くてスポーツ性が低いというイメージでした。
GSX-R750は乾燥重量179kgというスペックで登場したため、ライバルと比べて約40kg軽くてスポーツ性も高いと多くのライダーが飛びつきました。
軽さの秘密はアルミフレームと油冷エンジンで、特に油冷エンジンが軽量化に大きく貢献。
油冷エンジンとは、冷却水を使わずエンジンオイルを高圧でピストンなど高熱の部分に吹き付ける仕組みのエンジンです。
一番のメリットは冷却水の通り道がいらないので空冷エンジンのようにコンパクト・軽量に作れるのにパワーが出せること。
しかも発売デビューイヤーで24時間世界耐久レースで優勝してしまったので、世界中に「高性能」「耐久性」をアピールし一気に知名度が上がりました。
「見慣れないフレームで聞き慣れない油冷エンジンのバイクが、デビューイヤーで世界中のレースに勝利した!?」こんなスター性を見せつけられたら世界のライダーの記憶に刻まれないはずがありませんね。
▼1992年に高出力化により油冷エンジンでは対応できなくなったために水冷化
▼1996年にはさらなる戦闘力アップのためにフレームをツインスパー化
▼1998年にはインジェクション化
▼そして2000年に乾燥重量166kg・最高出力141馬力というとんでもないスペックにまで進化を続けました。
GSX-R1000初代モデルは2000年のGSX-R750をベースにして、2001年に発売されることになります。
2001年 GSX-R1000(K1/K2)[ロングストロークエンジンという個性]
初代GSX-R1000は2001年に乾燥重量170kg・最高出力160馬力というぶっちぎりのスペックで登場して、バイク界をあっと言わせました。
「良いものを安く」というスズキのコンセプトで、2000年式GSX-R750をベースに988ccまで排気量を拡大したスーパースポーツを開発。
GSX-R1000とベースのGSX-R750の違いは、フロントフォークのインナーチューブのコーティングとブレーキキャリパーが6ポットになっているぐらいで見た目はほぼ同じです。
▼2000年式GSX-R750
基本的な設計がR750と共通なのでボアアップはできず、ほぼストロークアップで排気量を拡大したためGSX-R1000は超ロングストロークのエンジンになりました。
当時のWSBKは750ccが排気量の上限だったため、リッターのスーパースポーツはセオリーがなくGSX-R1000は手探り状態での開発でした。
発売してみたら世界中で賞賛の嵐で、サーキット場はまるでGSX-R1000ワンメイク状態に。
- 安い
- ハイパワー
- 使い倒しても壊れない
3拍子揃った乗りやすいSSであるGSX-R1000は、各国の国内ロードレースで優勝を総なめにしました。
GSX-R1000はストリートユースにも高い評価を受けた
GSX-R1000はレース愛好家だけでなく、ツーリングに使う一般ユーザーからも高い評価を受けました。
GSX-R1000の「乗りやすい」という特徴はストリートユースにこそ刺さるコンセプトなので当然ですね。
属性が違うライダーから多くの支持を受けた初代GSX-R1000は、レース場とストリートをGSX-R1000一色に変えるほどの一大ブームを起こしたのです。
2003年 GSX-R1000(K3/K4)[WSBKレギュレーション変更という追い風]
初代モデルデビューから2年間ライバル不在状態だったGSX-R1000は、2003年に初のフルモデルチェンジを行い2代目に進化しました。
- K3型の主な変更点
- 4馬力アップ
- 2kg軽量化
- テールランプをLED化
- フロントブレーキを4ポットのラジアルマウントキャリパーへ変更
- フロントフォークインナーチューブをダイヤモンドカーボンコーティング ECU32ビット化
GSX-R1000は初代から乗りやすさを兼ね備えたスーパースポーツでしたが、今回のモデルチェンジでさらに低速域のレスポンスアップを実現しました。
スーパーバイク世界選手権のルールがさらなる追い風に
スーパーバイク世界選手権(WSBK)のレギュレーションが、4気筒750ccから4気筒1000ccにまで拡大されるというGSX-R1000にとってメリットしかないニュースがアナウンスされます。
ライバルメーカーより先にリッターSSを発売していたスズキは、すでに最強であったにも関わらずルール変更でさらにハンデをもらったような状態になりました。
2005年 GSX-R1000(K5/K6)[アンチセンターアップマフラー]
3代目とフルモデルチェンジされたGSX-R1000のK5型。 2005年はスーパーバイクのレギュレーションが4気筒1000ccになってから2年経ったので、各メーカーから新型リッターSSが発売されてGSX-R1000は追われる立場になっていました。
- 排気量を998ccに拡大してフルスケール化
- チタンバルブ
- 最高出力が178馬力までアップ
- サイレンサーをチタン化
- バックトルクリミッター
- 乾燥重量166kg
数多くの仕様変更をしていますが全て乗りやすさ向上のためで、初代GSX-R1000からのコンセプトは変わりません。
チタン製になったサイレンサーもただ2kg軽くしただけではなく、ライダーがバイクを振り回しやすいように重心から遠いパーツを軽量化した結果です。
当時センターアップマフラーを採用しなかったのはスズキだけ
ライバルが増え競争が激化している時期に発売されたK5型には、実にスズキらしい特徴があります。
「センターアップマフラーはどれだけ流行っても採用しない」 スズキはセンターアップマフラー化では、スポーツ性能は向上しないと考えていました。
「乗りやすさは速さに繋がる」というGSX-R1000のコンセプトに忠実で、流行りのデザインを取り入れないところに一貫性があって好感が持てますよね。
ちなみに2006年当時の国内4メーカーでは、スズキ以外はすべてセンターアップマフラーでした。
▼2006年式 CBR1000RR
▼2006年式 YZF-R1
▼2006年式 ZX-10R
2007年 GSX-R1000(K7/K8)[スポーツ性能向上のためのマフラー2本出し]
4代目へと進化したGSX-R1000のK7型の一番目を引く特徴は、2本出しになった巨大なマフラーです。
ほかにも車体全体に調整が入り車両重量が先代と比べて6kg増えたので「排ガス規制でついにGSX-R1000も改悪か」と思いきや、世界中で大好評。
初代からのコンセプトである「乗りやすさこそ正義」という考え方を追求した結果の、マフラー2本出しだったのです。
カタログの重量は増えていますが、実際に乗ってみると先代モデルより確実に軽いバイクだと感じるはず。
細かい変更点は下記の通り。
- 7馬力パワーアップして185馬力
- ヘッドライトプロジェクター化
- クラッチ油圧化
- 電子制御ステアリングダンパー
- ダブルアジャスター付きフロントフォーク
- エンジンモード切替機能(S-DMS)
この中で特にうれしいのが、ライバル車がまだ導入していなかったエンジンモード切替機能。
ライダーが走行中に3つのエンジンマッピングの中から好みのモードを選べるというシステムで、2022年現在では当たり前のシステムですが当時はまだ採用例がほぼない時代でした。
開発するのに3倍の労力がかかりますが、サーキットで使い倒したいエキスパートライダーからツーリングでゆったり使いたいストリートユースまでをカバーすることに成功。
最もユーザーフレンドリーなリッターSSとして、ぶれない進化を続けていますね。
2009年 GSX-R1000(K9/L0/L1)[脱R750ベース設計で専用エンジン新規開発]
5世代目となったGSX-R1000はR750をベースに開発することを止め、R1000専用の新設計エンジンで登場。
R1000専用エンジンを新規開発中というニュースを聞いたファンは「これでまた最高馬力を更新するはずだ。きっと200馬力以上は固いな」という前評判でした。
ところが蓋を開けてみたら、旧型とまったく同じ最高出力185馬力だったので「これのどこが新開発エンジンなの?」とファンは落胆します。
しかし内容を見ると、SSの中で最もユーザーフレンドリーなGSX-R1000にふさわしいエンジンだったのです。
エンジンを新設計した目的は3軸レイアウトの見直しで、エンジンをコンパクトにしてスポーツ性能を高めるためでした。
同時にホイールベースを変えずにスイングアームを延長することができたので、足回りの性能も合わせて向上。
GSX-R1000は「200馬力を突破するからすごい」のではなく、「地道に走りを磨いていくからこそすごいバイク」なのですね。
純正マフラーのこだわりがすごい
マフラーは先代に引き続き左右2本出しのチタン製で、サイレンサーをブーメランのように湾曲させてバンク角アップと重心の最適化を実現。
わざわざコストをかけて、サイレンサーを少しだけ曲げるという設計に執念すら感じます。
バイクが好きな人ほどすぐにマフラーを交換してしまいますが、ぜひ完成されたノーマルのGSX-R1000を味わい尽くした後に交換することを強くおすすめしますよ。
2012年 GSX-R1000(L2~L6)[すべては乗りやすさのために]
マフラーが再び1本出しになった6代目GSX-R1000の主な変更点は下記の通りです。
- ブレンボ製ブレーキキャリパー
- 右側1本出しになったマフラー
- 新設計ピストン
- 圧縮比0.1アップ
- カムシャフト形状見直し
エンジン内部にかなり手が入っていて、圧縮比も上がっているのに最高出力はまたもや据え置きの185馬力。
今回のエンジン内部見直しも、低速域のレスポンス改善や扱いやすさ向上のためでした。
GSX-R1000はスペック競争はしない
GSX-R1000は2007年から3世代すべてのモデルが、最高出力185馬力のままカタログ上はパワーアップしていません。
エンジンの内部を調整しても、エンジンを新設計しても、最高馬力が変わらないのは、わざとやっているのかと邪推してしまいたくなるほど。
ちなみに2012年時点カタログスペックで185馬力以上のライバルマシンは4車種あります。
▼200馬力 Kawasaki ZX-10R
▼193馬力 BMW S1000RR(EU仕様)
▼195馬力 DUCATI 1199パニガーレ
▼201馬力 MVアグスタ F4RR
ホンダ、ヤマハ、アプリリアには勝っていますが、すでにライバルの半分にはパワーで負けている状態です。
それでも最高馬力をむやみに上げてカタログスペックでアピールするより、3世代一貫して「乗りやすさ=速さ」で勝負しているところがGSX-R1000最大の魅力なのかもしれませんね。
GSX-Rシリーズ世界累計販売台数100万台を突破
1985年にGSX-R750が発売されてから世界中のライダーに愛され続けた結果、2013年にGSX-Rシリーズは世界累計販売台数100万台を突破しました。
▼記念として1985台限定で発売された特別カラー
GSX-Rシリーズのファンが多いアメリカ市場で流行りそうなデザインですね。
2017年 GSX-R1000/A/R(L7/L8)[日本仕様が導入開始]
一気に電子制御化が進んで7代目となったGSX-R1000のL7型は、3つのグレードがあり正式に日本仕様も導入されました。
- GSX-R1000:スタンダード
- GSX-R1000R:足回りが前後SHOWA製バランスフリーサスペンション
- GSX-R1000A:ABS付
ちなみに日本に導入されたのはGSX-R1000RにABSが付いたモデルです。
各グレード共通な部分は下記の通り。
- 6軸センサー
- 10段階のトラクションコントロール
- S-DMSエンジンモード
- ブレンボ製キャリパー
7代目のGSX-R1000はMotoGPの技術をフル投入
7代目のGSX-R1000はMotoGPの技術を導入し、エンジンのカムを直打式からフィンガーフォロワー式に変更。
ついに200馬力の壁を突破して、最高出力202馬力・装備重量202kgへと進化しました。
さらに下記の3つの仕組み導入でエンジン特性を改善させています。
▼『SR-VVT』可変バルブタイミング 引用元:スズキ公式
▼『SET-A』エキパイ排気バルブ制御 引用元:スズキ公式
▼『S-TFI』デュアルインジェクション 引用元:スズキ公式
MotoGPの技術を総動員して新型GSX-R1000で実現したかったことは、低回転域のエンジン特性の改善。
やってることは初代のGSX-R1000からずっと「乗りやすさ=速さ」のための改良で、最高出力が202馬力になったのはあくまでも結果なのです。
2020年 GSX-R1000R(M0)[祝!スズキ創立100周年&MotoGPチャンピオン]
スズキの前身の会社[鈴木式折機株式会社]の設立から、数えて創立100周年を記念する特別カラーが発売されました。
トリトンブルーメタリック×ミスティックシルバーメタリックの組み合わせは、2020年シーズンにMotoGPに参戦していたGSX-RRのレプリカカラーなので目にした人も多いはず。
2020年シーズンはスズキが20年ぶりのMotoGPチャンピオンを獲得
GSX-RRでMotoGPクラスに参戦するスズキのワークスライダーのジョアン・ミル選手が、2020年シーズンのシリーズチャンピオンに輝きました。
スズキのライダーが最高峰クラスのタイトルを獲得するのは、2000年のケニー・ロバーツ・ジュニア選手以来で20年ぶりの快挙。
さらにチームメイトのアレックス・リンス選手も総合ランキング3位を獲得したので、スズキのマシンの安定した成績とメーカーの技術力を世界にアピールした2020年シーズンでしたね。
歴代モデルでおすすめなのは2017年以降のモデル
GSX-R1000はライバルメーカーのマシンと違い、初代モデルからコンセプトが一貫しています。 「安くて良いものを提供する」 「乗りやすいバイク=速いバイク」
つまり2001年発売の初代から最新モデルまで、すべて誰にでもおすすめできるリッターSSなのです。
あえておすすめのモデルを選ぶとしたら、2017年以降の1000cc専用設計のエンジンが搭載されたモデルとなります。
GSX-R1000はリッターSSの中で一番乗りやすいバイクですが、凄まじいパワーのモンスターマシンであることには変わりありません。
初代より進化した車体設計で各種電子制御のアシストがあれば、安全にリッタースーパースポーツを楽しめるということが、2017年以降のGSX-R1000をおすすめする理由です。
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