今から30数年前、初めて日本国内に「走る戦闘機」と呼ばれたホンダの2ストロークマシン「NSR250R」という恐るべきオートバイが登場しました。
レーサーさながらの斬新な外観とカラーリングが、二輪市場に鮮烈なショックと深いインパクトを与えながら、満を持してデビューを果たしたのです。
爆発的な加速性能とスピード・操縦性、洗練されたデザイン性で発売と同時に爆発的な人気を博したNSR250R。
今回はそんなNSR250Rの中古相場やユーザーの評判、歴史まで網羅的に解説していきます。
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NSR250Rとは?
NSR250Rとは、ホンダが1986年に発売を開始した排気量250ccの2サイクル「レーサーレプリカ」タイプのオートバイです。
車名となっているNSRとは(New Sprint Racing)の略称であり、ワークスレーシングモデルNSR500のレプリカとしてこの世に誕生しました。
「走る戦闘機」の異名の通り、爆発的な加速性能とスピード・操縦性を誇ります。
そして、何よりもその洗練されたデザインから、発売と同時に爆発的な人気を獲得しました。
NSR250Rは新車販売無し!生産終了の背景
残念ながら、NSR250Rは現在新車販売はされていません。
1990年代後半にレーサーレプリカブームが終わり、代わりにカウルを装着せず、エンジンとフレームが剥き出しのバイク「ネイキッドブーム」が訪れました。
時代の流れにNSR250Rも影響を受け、加えて排ガス規制がとどめを刺しました。
2ストエンジンでは排ガス規制の新基準をクリアできないため、ホンダは競技専用車を除き、全ての車両をクリーンな4ストロークエンジンのモデルに変えました。
そして1999年、ついにNSR250Rの生産・販売は終了します。1980年代から1990年代初頭まで人気を博した「走る戦闘機」は、その歴史に幕を閉じたのです。
NSR250Rの中古相場の推移
ここからはNSR250Rの中古相場価格の推移についてみていきます。
NSR250R初代(1986-87,MC16)の中古相場価格
NSR250R初期型MC16の中古相場は、2022年6月での69.8万円から2023年6月では89.8万円と約20万円アップしました。
業界全体で見れば中古相場は落ち着いてきてますが、NSR250Rは人気車種かつ絶版車ということで、初期型でも価格が高騰していますね。
NSR250R2代目(1988-89,MC18)の中古相場価格
NSR250R2代目MC18型の中古相場は、2022年6月での137万円から2023年6月では145万円と約8万円アップしました。
最も相場が高かった2022年10月頃と比較すると値下がりを見せていますが、上下を繰り返しながらも高い水準で推移していますね。
NSR250R3代目(1990-92,MC21)の中古相場価格
NSR250R3代目MC21型の中古相場は、2022年6月での193万円から2023年6月では188万円と約5万円ダウンしました。
業界全体で相場が高かった2022年8月頃の相場は低く、2023年に入って価格が上がって来ている珍しいケースですね。
NSR250R最終モデル(1993-,MC28)の中古相場価格
NSR250R最終モデルMC28型の中古相場は、2022年6月での223万円から2023年6月では334万円と約111万円アップしました。
球数が少ないとは言え、1年で平均相場が100万円以上アップしてるのはすごいですね。基本的に全型式で価格上昇を見せていたので、NSR250Rの根強い人気が伺えます。
今後のNSR250Rの中古価格の予測
NSR250Rの中古相場は、今後は1年、2年スパンで見れば徐々に中古相場が落ち着くと予測されますが、具体的な時期は読めない状況です。
半導体不足は徐々に解消されてきていますが、いつ頃から安定供給されるかは読めません。バイク屋さんによっては「もう以前のような価格には戻らないのではないか」という声もあります。
NSR250Rは生産終了していることもあり、状態が良い車体はどんどん減っていきます。
業界全体では相場が落ち着きを見せてますが、NSR250Rは依然として値上がりを続けているので、希少性の増している人気絶版車ということもあり、引き続き値上がりが続く可能性もありますね。
NSR250Rの評判・口コミ
NSR250Rに乗ったことがあるユーザーにアンケートを取り、乗り心地や感想を頂きました。
リアルな評判や口コミになるので参考にしてみてください。
ちなみに今回お答えいただいたのは、30~50代の男性でした。
やはり本格派の2ストレーサーレプリカなので、男性に好まれる傾向がありそうですね。
NSR250Rは新車と中古どちらを買った?
NSR250Rは中古で購入した人が76.5%という結果でした。
購入先は個人のバイク屋やヤフオクなどの個人売買が多かったです。
年代物のバイクなのでレッドバロンなどにも在庫がない場合もあり、個人売買などで探して購入する人も多いようですね。
年式や状態によってもバラつきはありますが、平均購入価格は57.7万円でした。
NSR250Rをどのような用途で使っていましたか?
NSR250Rの用途はツーリングが35.3%と最も多く、峠を攻める人と街乗りが同率となりました。
他のバイクでアンケートを取ると「峠」はもっと割合が低いので、NSR250R特有の結果となりましたね。
NSR250Rの乗りやすさは?
走行性能の高さが高評価
NSR250Rは走行性能の高さに高評価をつけている人が多いですね。
NSR250R特有の制御システムや2スト特有の加速感に満足してるようです。加えて取り回しの良さも比較的高く、操作性の高さが伺えますね。
足つきは人によって印象がまちまち
足つきに関しては、165cmくらいでも「良い」と言う人と「微妙」と言う人が分かれました。
体格も関係するので一概には言えませんが、170cm以上あれば概ね気になることは無さそうです。
燃費は良くはないが、レーサー仕様なので捨ててる人も多そう
燃費に関しては良いと言ってる人があまりいなく、シートの座り心地も良くはないという声が多かったです。
ただ、そもそも燃費の良さを求めて買うバイクでは無いので、燃費よりも走りの良さを見てるライダーが多そうですね。
NSR250Rの良いところ、悪いところ
NSR250Rのメリット、デメリットに関する意見を載せます。
メリット
コーナリングが軽快で加速も申し分ない。また走行性能以外の点では、車両重量が軽く取りまわしが楽で、足つきもよい。(男性、40代)
街ではコンパクトに、峠はブン回して音や雰囲気を楽しめる。燃費も良い。(男性、30代)
フォルムはかなりかっこいいと思います。250の中では速く加速がすごいです。ついついスピードを出したくなるようなバイクでした。(男性、30代)
素晴らしく運動性能が良いバイク。よく曲がるしよく走りました。初めてこのバイクに乗った時、レーサーを手に入れたような気分になりました。(男性、50代)
加速性能の高さにブレーキの効き具合は抜群でしたし、馬力もあり道を選ばず乗れるのは良かったです。(男性、30代)
やはり走りに関するコメントが大半ですね!
街乗りも峠攻めも両方いけるのも嬉しい点です。
デメリット
今のバイクとの比較ですが、燃費が悪い。音がうるさい。排気が臭い。(男性、40代)
運転しやすいわけでもなく燃費も良くありません。ツーリングのときはかなり疲れました。積載量も多くないので大変です。(男性、30代)
あまり中古で出回っていないので、見つけるまで大変でした。メーカーももっと量産してほしい。(男性、40代)
とにかく燃費が悪く街乗りでもリッター15を切ることがありましたし、長距離のツーリングだと尚更燃費の悪さは気になりました。(男性、30代)
チャンバーからオイルを吹いてしまう所だと思います。タンデムシートに積んだ荷物が汚れてしまうことがあります。(男性、50代)
2st特有のエンジン音や排気のにおいにデメリットを感じてる人がいました。オイルを吹いてしまって、シートが汚れてしまうといった声もありました。
また燃費は良くないので長距離のツーリングには向きません。
良くも悪くもですが、人気なので中古市場で見つけづらいのもありますね。
良い車体が見つかったら早めに購入を検討すると良いでしょう。
NSR250Rがおすすめな人
最後にNSR250Rがおすすめな人をお聞きしました。
サーキットや峠を攻めたい人
街乗りには不向きなため、峠やサーキットを攻めたい方におすすめ。昔のバイクなので現代のバイクと比べて不満を持たない方にしかおすすめできないです。
サーキットで走りたい方や名車に乗りたい方にはお勧めできる思います。
峠道を攻めたい若者向け。ツナギやヘルメットにこだわってレーサーの雰囲気を出すファッションを決めたい人にも向いていると思います。
走りを追求してるモデルなので、サーキットや峠で走りを楽しみたい人にはおすすめです。
2ストのレーサーレプリカに乗りたい人
2サイクル、レーサーレプリカが好きな方
3大メーカーの2ストレプリカに乗ってみたいけど、どれを選んでよいか迷っている人。小・中規模のサーキットで楽しく走りたい人です。
レーシングレプリカはじめての人や、ツーリングしてみたい人にはピッタリのバイク。
2ストのレーサーレプリカを探してる人にはピッタリのバイクです。
250ccで比較的手ごろに手に入るのもポイントですね。
走りを純粋に楽しみたい人
純粋に走りを追求したい人。
風を切って走りたい人にはうってつけです。
やはり加速性能が特に良いので、スピード感を感じて風を切って走りたい方にはおすすめです。
走りを追求して風を切る感覚を楽しみたい人にもおすすめです。
街乗りでもツーリングでも峠でも良いですが、NSR250Rの良さは走ってナンボ。
日常からバイクに乗る機会が多い人に向いてますね。
NSR250Rの歴史
ここからはNSR250Rの歴史についてみていきます。
1986年 NSR250R(MC16)登場
NSR250Rの記念すべき初代モデルが、このNSR250RG、通称型式「MC16」です。
1986年10月、NS250Rがフルモデルチェンジを行い、生み出されたのがこのMC16。
- 断面が「目の字」を持つアルミニウム製ツインスーパーフレーム
- 「NSシリンダー」と呼ばれるニッケルメッキのクランクケースリードバルブの水冷2ストローク90°V型2気筒エンジン
- 排気デバイス「RCバルブ」で低速から高速まで常にパワフル
- 排気デバイス「RCバルブ」で低速から高速まで常にパワフル
レーシングマシンであったNS250Rを、そのままのフレームで公道用にサイズダウンしたような姿が印象的。
カラーはファイティングレッドと「全日本味の素ホンダレーシング」のテラカラーであったテラブルーを採用
2万台弱の大ヒットを記録し、86年2ストレーサーレプリカ販売台数一位となりました。
1987年 NSR250R【特別仕様で登場】
1988年 NSR250R【フルモデルチェンジで2代目登場】
1987年11月に発売された型式MC18。
通称「88(ハチハチ)」と呼ばれている2代目NSR250Rの登場。
スピードリミッター無しの最終モデルである88は、市販レーサーバイクRS250と同時期に開発。
競技車両のRS250とほぼ見分けが付かず、レーシングバイクにそのまま公道を走らせるつもりなのかと、当時世間を驚かせたような斬新なモデルです。
- アクセル開度と、エンジン回転数によって点火タイミングをマイコン制御する「PGM・PGMキャブレター」を搭載
- RS250を彷彿とさせる「五角断面フレーム」を新開発し、車体を軽量化&コンパクト化
- ハンドル位置が低く下げられ、ステップ位置は高くなる
- 排気デバイス「RCバルブ」で低速から高速まで常にパワフル
性能面で改良が見られた半面、ハンドル位置が下がり、ステップが高めに設定されたことで、ライディングポジションがかなり窮屈になりました。
極端な前傾姿勢を取る必要があり、なおかつ視界も制限されてしまうため、公道走行においては危険であると評されたのも納得です。
ただし、88モデルが今でも「最強最速」のモデルと呼ばれているのは、その過激すぎるポジショニングとスピードリミッターが無かったことに由来しています。
公道を走る上での安全性・視認性よりも、レーサーレプリカとしてのデザインと性能を重視したわけですね。
1988年 NSR250R SP【ロスマンズカラーを纏った上位モデル】
今となっては「NSR250Rと言えば」と言われるほど有名なロスマンズカラーで初登場した上級仕様モデル。
このカラーリングも相まって、NSR250Rの人気はさらに高まりました。
- 量産型バイクとして世界初のマグネシウム製ホイール搭載で約1.5kgの軽量化
- 慣性マスの集中化
- 路面追随性が向上
1989年 NSR250R【マイナーチェンジ】
- フロントカウルの形状を変更
- 車体後部にテールアップ型排気膨張管を採用
- 後部ステップの取付ホルダーが収納式になる
- エンジンの制御プログラムが改良
- 6速ミッションも各速のギア比を近づけてクロスレシオ化※
※クロスレシオとは各速のギア比を縮めること。エンジンの回転数が落ちづらくなり、加速性能が向上する
1989年 NSR250R SP【マイナーチェンジ】
- 高効率の乾式多板クラッチを標準装備
- 減衰力調整機構付きの前後サスペンションも装備
カラーは「アジノモト・ホンダ・レーシングチーム」のマシンをイメージした通称「テラカラー」を採用。
1990年 NSR250R【フルモデルチェンジの3代目】
1990年2月、3代目のNSR250Rが登場します。型式名称は「MC21」
- ヘッドライトが薄型幅広の2灯ハロゲンライトに変更され、視認性が向上
- リアシートカウルの上部への跳ね上げが強まり、よりレーシング仕様に
- 乗車姿勢が今まで以上にクラウチングスタイル向きに改良
- シリンダー、シリンダーヘッド、クランクケース、クランクシャフトなどエンジン主要部を新設計
- 電子制御が「PGM-IIIシステム」に改良され、エンジン回転数やアクセス開度などの解析が進化
今まで以上にレーシング仕様として生まれ変わった3代目NSR250R。
それぞれの性能を改良しつつ、NSR250Rらしいスピード感ある走りも損なわないよう進化しました。
1990年 NSR250R SP【マイナーチェンジ】
1991年 NSR250R【マイナーチェンジ】
1991年 NSR250R SE【SPベースの新モデル】
上級仕様のSPモデルをベースにしながらも、スタンダードモデルと同じミッションを使用したSEモデルが登場。
乾式多板クラッチや前後サスペンションに減衰力調整機構を装備しています。
1992年 NSR250R【カラーチェンジ】
1992年 NSR250R SE【カラーチェンジ】
レッド×ホワイトとレッド×ブラックの2色がカラーチェンジで登場。
レッド×ホワイトは、1991年の全日本ロードレース選手権250ccクラスでシリーズチャンピオンを獲得したマシンのカラーリングを採用しています。
1992年 NSR250R SP【チャンピオンモデルのカラーを踏襲】
ロスマンズカラーのベースとなるブルー×ホワイトは変わりませんが、カラーバランスが1991年ロードレース世界選手権で優勝したマシンのイメージに変更。
マグネシウムホイール、乾式クラッチ、減衰力調整機能付きサス装備など走行性能はそのままです。
ちなみにこの年には「フラッシュカラー・スペシャル」という赤色のモデルも発売されました。1992年4月にプレミアムモデルとして登場したホンダNR(750cc)と同じ塗装を採用しています。
1993年 NSR250R【世界初の機能を搭載した最終モデル】
NSR250Rの最終モデルとなったMC28。
世界初の電子機能「PGMメモリーカード・システム」を採用。
液晶メーターのカードリーダーにICカードを差し込むことでシリアルナンバーを照合し、主電源やコンピュータ・ユニットが起動、ハンドルロックも自動解錠するなど画期的な仕組みでした。
乗りやすさと速さを兼ね備えた最終モデルは、最強最速と怖れられた88モデルからは想像も出来ない安心感と安定感がありました。
正に「完成されたNSR」として今も高く評価されています。
- 電子機能を持たせたPGMメモリーカード・システムを採用
- エンジンの制御プログラムはPGM-Ⅳへと進化
- リアホイールがプロアームに変更。よりレーサーライクなルックスになり、整備性も向上
1993年 NSR250R SE【フルモデルチェンジの2代目】
- 乾式多板クラッチを装備
- フロントサスペンションにカートリッジタイプの伸び側減衰力調整機構付きダンパー
- リアサスペンションにはリザーバータンク付きダンパー
1993年 NSR250R SP【1500台限定の3代目モデル】
- 乾式多板クラッチを装備
- 路面追従性に優れたニュー・カートリッジタイプのサスペンション
1,500台の限定で発売されたロスマンズカラー3代目。
NSR250Rをベースにしつつも、さらに走行性能を高めました。
1995年 NSR250R SP【カラーチェンジ】
サイドに大きくNSRの文字が記されたカラーリングで登場。
1996年 NSR250R SE【カラーチェンジ】
1996年 NSR250R SP【レプソルカラーを纏ったシリーズ最終モデル】
スペインの石油会社REPSOLをイメージしたレプソルカラーを採用したNSR250Rシリーズ最終モデル。
10年ほどの比較的短い歴史の中で、なんと4回のフルモデルチェンジを行って進化を続けた名車の歴史が終わりを告げました。
NSR250Rのカスタム事例
NSR250Rのカスタム事例をインスタからピックアップしてきましたので、カスタムの参考にして下さい。
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